IFRSプロジェクト
経理本部
林 琢也
2021年入社(中途採用)/経済学部卒業
監査法人で企業の会計監査に携わった後、不動産関連会社で経理を担当。2021年よりニチイに経理マネージャーとして入社し、国際会計基準であるIFRSの導入と、上場に向けた取り組みに尽力している。
2020年、ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン・LLCをスポンサーとするMBO(経営陣による既存株主からの自社株の買収)が成立し、ニチイは持株会社体制へと移行し、東証への上場を廃止。新たな経営体制で事業再構築を行い、再上場をめざす。
財務・経理面での変革の一つが、国際会計基準である「IFRS」の導入である。それまで利用していた日本会計基準は日本の税法との親和性が高く、多くの日本企業で導入されているが、国際的に通用しないのが難点。一方、IFRSは世界共通の会計基準をめざして国際会計基準審議会が作成したもので、海外での資金調達がしやすく、海外に子会社を持つ企業をはじめとする大手企業に採用されており、近年はIFRSで上場することが一般的だ。ただし、切り替えに時間や労力がかかるなど難しい点もある。そこでニチイは、専門知識を有する人財を経理部に迎え、外部の監査法人とともにIFRSの導入を進めることとなった。
現在を「第二創業期」と位置づけ、国際会計基準をはじめとする再上場に向けた変革を進めるニチイ。財務諸表は、四半期報告書として2021年の3月期の公表を終え、引き続きIFRS基準での作成を進めている。順調にIFRS導入を果たしたわけだが、ここで進化を終えるわけではない。ネクストステップとして、財務諸表作成の「スピード化」を目標とし、これまで約1年かけていた作成期間を圧縮し、さらなる効率化を進めている。東証は、いわゆる「45日ルール(決算期末日から45日以内の決算書を開示)」を示しているため、今後ニチイが再上場をめざすうえで、スピード化は必須要件だからだ。そして、現時点でIFRSを導入している介護分野の企業は他になく、ニチイがIFRS基準で上場できれば、介護業界初となる見込みだ。
IFRSの導入は、その仕組み自体の必要性はもちろん、従来からの経理の仕組みを見直し、効率化をはかる好機でもあった。そして、再上場後のスピーディーな事業展開を可能とする体制整備でもある。ニチイの第二創業期とは、将来に向けての「地盤固め」と言えるだろう。
ネクストステップとして、経理として力を入れているもう一つの取り組みが、業務の内製化であり、そのための人材育成である。外部の会計事務所に依頼していた部分をニチイ社内で担える体制を作ることで、よりスピーディーに業務を遂行できるとともに、社内にノウハウを蓄えることができるからだ。
人財育成のキーワードは、「考える経理」。自らの力で考え、動ける人財、そして将来的にニチイの経営に参与できる人財を育成していくという狙いがそこにある。そのために、林をはじめとする専門家の経験を活かし、実務を通して専門知識や学べる体制作りはもちろん、外部セミナーや社内研修などの制度も整備した。
ニチイは皆さん紳士的で和気あいあいとした雰囲気ですが、仕事への熱い気持ちも大切。これから入社される方も、「一緒にやりましょう!」と一緒に前へ進む、そんなマインドを持っている方だと嬉しいですね。入社後は、社会人として、そして経理のプロフェッショナルとしてしっかり育てていきますので、ぜひニチイに来ていただきたいです。
経理部のマネージャーとして与えられたミッションは、IFRSに基づく財務諸表を確立すること。これまでニチイが日本基準で処理してきた内容を理解したうえで、IFRS基準に合う形にする必要がありました。まず着手したのは、日本会計基準とIFRSとで異なる箇所をどう処理するかという洗い出し。経理部のシニアマネージャーとともに会計処理の根拠を「ポジションペーパー」にまとめ、外部の監査法人の確認をとるのですが、70ほどある論点それぞれの重要度や判断の根拠を明確にし、説得力のあるものにしていきました。こだわったのは、どれだけ現状の処理を維持しつつIFRSを導入できるか。仕訳の本数は決算のスピードに影響するので、将来の再上場を見据え、できるだけ仕訳の本数を少なくした形でIFRSを導入できる形にもっていくのが我々のチャレンジでした。